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和歌山生まれ 桐蔭高校時代は進学校の国立理系進学コースで学んでいた。
しかし“将来のイメージが見えない”と卒業後は大学に進学せず、
ワーキングホリデーで1年間オーストラリアに滞在した。
いろいろな人と出会っていくなかで“人と関わる仕事をしたい”と漠然と
起業のイメージが浮かび上がってきたという。
「1年間好きなことをして親に迷惑を掛けたので、大学は夜間コースを選び昼間働きながら経営学を学びました」
プログラマーだった父親から教わったプログラミング知識を活かし、パソコン教室の講師の職に就いた。
大学3年生の時、自身で教室を開設し、個別指導のサービスを始めた。
「そのまま起業することも考えたのですが、知り合いの経営者の方から
“せっかく新卒なんだから、一度大きな企業に入って、上流工程を見ると良い”というアドバイスを受け、
IT企業やコンサルタント会社、大手メーカーを対象に就職活動をしたんです」
上野氏が選んだのは、後のビジネスパートナーとなる、生理用品・紙おむつなどの衛生用品の大手メーカー、
ユニ・チャーム株式会社だった。
2003年に営業職として入社し、2009年からはグローバルマーケティング部で1年間海外のヘッドクォーターを務めた。
その後、子ども向け専門店の店頭でおむつのデモンストレーションを行いながら商品を売る
『推奨販売』を手掛けていた時に、人材会社から派遣されてきた女性販売員のなかでも、
主婦がひときわ優れた業績を打ち出していることに気がついた。
「専門店には新米のママやこれから出産を迎えるプレママが多く来店されます。そこに、
経験豊富な主婦(お母さん)がいろいろアドバイスしながら商品を紹介するので、
ものすごく説得力があるわけです。その時“お母さんばかりを集めた人材派遣会社をつくろう!”と思い立ちました」
2012年、学生時代から志していた起業を実現し、上株式会社S・S・M(Super Strong Mother)を設立する。
創業当初、“お母さんがお母さんであることの力を使って社会に貢献する”という、
人材活用事業を構想していた。
しかし、市場調査を進めていくと、保育所不足による待機児童問題の影響で、
そもそも子どもを預けることができず、仕事をすることができない、という事実が浮き彫りになった。
“保育所さえあれば、お母さんは働くことができる”と考え、保育所開設に乗り出していく。
そして、実際に運営に携わるなかで、働くお母さんを助けるための施設である保育所こそが、
保護者に対し、あまりにも多くの要求を課しているという現実に突き当たった。
「そのひとつがおむつの準備と持ち帰りです。そのほかにも事細かく条件が決められた離乳食や
毎日の洗濯物、寝具など、さまざまなアイテムに対して要求があり、働くお母さんは負担が減るどころか、
膨大なタスクを抱えヘトヘトになっていたのです」
「保育所が変わらなければ、誰もが元気よく働ける社会にはなれない」そこに一つの光を投げかけたのが、
保育市場に新たな販路を築きたいという、ユニ・チャーム株式会社からの相談だった。
まさに、二者の課題が絶好のタイミングで合致した瞬間だった。
上野氏は自社で構築した保護者の決済と保育所での在庫管理システムと、
ユニ・チャーム社の商品力、全国へ製品を配送する機動力とを連携させ、
『手ぶら登園』の原型をつくりあげた。
そして2018年、ぬくもりのおうち保育株式会社 とBABY JOB株式会社を設立し、
2本柱による事業展開で新たなスタートを踏み出した。
2019年、日本初の保育所向けおむつのサブスクリプションサービス『手ぶら登園』をプロトタイプとしてローンチ。
これまでにない全く新しいサービスであったため認知度は低く、当初は保育所にアプローチをかけても
耳を傾けてもらえず、アポ率は1%以下。100件電話して1件アポが取れるか取れないかといった状況
その状況を打開したのが、2020年の『日本サブスクリプションビジネス大賞2020』グランプリ受賞だ。
メディアにも注目され認知度は急上昇し、比例するかのようにユーザー数が拡大。
サービス開始時、200~300人だったユーザー数は、2020年4月に6,000人になり、
2022年現在、全国2,000施設以上・3万人以上の園児がサービスを利用している。
「とはいえ、全国の保育施設は約4万件。採用率はわずか5%に過ぎません。
まだまだ浸透させていきたいし、そのためには課題も多いです」とさらに先を見据える。
新たなサービスをローンチ。
“食べログの保育所版みたいな情報サイト”と説明するサービス『えんさがそっ♪』は、
全国の保育所をマップ上にプロットし、保護者が知りたい保育所の豊富な情報を発信していく。
そのサイトを見ればさまざまな情報が手に入り、
比較検討しながらそれぞれの条件に合った保育所を探し出せるという。
待機児童が発生しており保育所が不足している現状では保育所は周辺地域の子どもが集まってくるため、
児童を募集する必要がほとんどない。そのため、いまだホームページすらない保育所も多く、
インターネット上に公開されている情報は極めて少ない。
しかし、少子化が進めば、保育所に定員割れが発生する可能性もある。
このサイトが発展すれば、保育所にとっても絶好のアピールの場となり、
地方自治体にとってもより良い社会インフラを形成するヒントにもつながる。
まさに“全方良し”のプラットフォームといえるだろう。
「公的機関のサービスは、どうしてもマジョリティに寄ったものになる。
だからこそ、マイノリティをきめ細かくサポートし、取りこぼしのない福祉をつくるのが
私たちの存在意義だと思っています。
2007年に創業。
「一番大きくて沈まない、溺れないから“クジラ”にしました。100年続く会社を目指します」
会社を作ってつづけている原点は「人が辞めない会社をつくる」
南場智子さんの「不格好経営」を読んだときに「この人ほどの苦境にはない」と心が少し楽になり
「伸びる会社とは大学生に好かれる会社」
大学を出ていない自分がインターンを取ることにした